2014年10月18日土曜日

58:バラバラな定義ではケンカになる!

学問的な用語を除けば、ある言葉や概念の定義を日常の中で定めるのは難しいでしょう。
また、あいまいなまま噛み合わない議論をすることが如何に多いか……という認識を持つ人もいるでしょう。


今回は、「論理的な思考ってなに?」ということと絡めつつ、定義の大切さについて考えたいと思います。



「論理的思考」とは何か。

ちょっと堅苦しくなりますが、「直面する状況のもとで、問題の本質を押さえ、合理的に結論を導き出すための観念の実践的なプロセス」だと私は考えています。


つまり、まず「テーマは何? 何の話をするの?」「どんな結論を出すの」というスタートとゴールが明確なら、おのずとそこに至るプロセスが見えてくる、ということです。これによって、議論が筋の通った、堂々巡りのないものになるでしょう。



……ただし、日常会話で毎回これを適応しろと言うつもりはもちろんありません。


ちなみに、ここでの「結論」とは、問題を明確にして優先順位を付けること。

ある問題(現象)の原因を究明し対策を策定する。最適な選択肢を選ぶこと。
或いは、リスクに対しての予防対策と発生時対策(起きた場合の影響を最小化する対策)。
或いは、無目的の「知的雑談」(これをホンダでは「わいがや会議ーー(わいわい、がやがや)ーー」と言ったそうです)などがあるでしょう。



次に、言葉の定義の大切さについてです。



例えば、「金融派生商品」という語があります。



これを私なりに定義すれば、「現に存在する資産から潜在的な価値をつくりだすために、二名あるいはそれ以上の関係者の間で結ばれる契約」といった感じでしょうか……。



私は金融証券の専門家ではないので、間違った部分もあるかもしれませんが。



ちなみにネットを検索したところ「株式、債券、金利、通貨、金、原油などの原資産の価格を基準に価値が決まる金融商品の総称」という定義も見られました。



言いたいのは、何かについて議論するときに、上でやってみたように①比較的核心的な言葉について、その定義を共有し、②「論理的思考」ということを意識することが非常に建設的だ、ということです。


2014年10月15日水曜日

57:情報は加工せよ!

モノの製造のプロセスを非常に簡単に概略すると、「原材料」が「加工」を通じて「完成品」になる、という流れでしょう。
この際、原材料の品質・加工方法の標準化・完成品のチェック……これらがなければ市場での信頼を得ることはできないでしょう。


この製造プロセスと、考え・結論を下すプロセスとを比較するとおもしろいことに気が付くので、今回は短くそれについて。



製造における「原材料」は、思考では「諸情報」にあたるでしょう。

「完成品」にあたる「結論」を出すためには、この「諸情報」を「加工」しなければならない……ということがこの比較の図式から見えてきます。




完成品=結論の品質は、この情報の加工のレベルに影響されることは言うまでもありません。

製造のプロセスでは、先ほども述べたように、この加工を標準化して品質を維持をしています。
同様に、判断業務をする場合にも、材料となる諸情報、つまり事実関係や諸意見・仮説の品質を確かめたうえで、「理性的に」加工することが、良い結論に結びつくのではないでしょうか。

2014年10月8日水曜日

56:「かっこいい人生」ってなんだ!?

「生きがいのある人生」「かっこいい人生」。


こういったものに多くの人々は憧れるものです。


そういった人生を送るためのきっかけを求めて、たまには人生について考えることもあるでしょう。
読書をしたり、ひとりで考えてみたり、友人・先輩・恋人と話をしたり……様々なことがあるでしょう。
そういった思いを、次のステージに持っていくための知恵を今回考えたいのです。


一部友人の受け売りになりますが、これには「4つのション」が必要だと私は考えます。


第一はミッション(Mission)。
「自分にしかできない」と思うこと、自分でイニシアティブをとっていく事柄。
公につながること、人の役に立つことがより良いでしょう。


第二はパッション(Passion)。
情熱のことですね。特に説明は必要ないでしょう。


第三はアクション(Action)。
いくら使命や情熱があっても、行動に移さなければ仕方ありません。


第四はディターミネイション(Determination)。
使命・情熱をもって行動に移したことを、決意を持って最後まで成し遂げる、ということです。


この4つが必要だと考えます。


このMissionというのは、なにも大げさなことを言っているのではありません。
「近所のお年寄りを気遣いってときどき様子を見に行く」とか、そういった些細なことで良いのです。


これはある意味では、自分の時間と関心を「投資」するということです。
相手が喜ぶという「配当」、これが人生をより豊かなものにしてくれるのです。



2014年10月1日水曜日

55:問題解決へのアプローチ

どんな組織でも、あるいは個人でも目の前の問題を解決する努力が仕事そのものです。


問題解決に関する本や雑誌は世の中に溢れるほどあります。その溢れている状況にもう一つアイデアを提供します。このアイデアが皆さんの問題解決へのアプローチの際に、少しなりとも頭の整理に役立てばと思うのです。


私は、目の前の問題を時系列で押さえてみたらどうかと提案します。それは、過去に起こった問題に対する解決なのか、今起こっている問題なのか、そして、将来起こり得る問題なのかと分類してみることです。


過去問題、現在問題、将来問題といってもいいでしょう。過去問題は「なぜそのようなことが起きたのか」という原因を究明するアプローチです。現在問題は「今決めなければならないこと」に対するアプローチです。そして、将来問題は「プランを実施するときに先読みをして心配な事柄をどうするか」を考えるアプローチです。


目の前の問題の多くは自分の経験や知識から結論を出すことができるでしょう。しかし、どのようにアプローチして良いかわからないときには、このように過去、現在、将来にまず分類してみることが、問題を解きほぐすきっかけを作るのに役立つと思います。


これらのアプローチの詳しい内容については、ブログで開示していくつもりですが、1991年出版の拙著『問題解決の思考技術』(日本経済新聞社)に詳しく書いてあります。この本は2001年に文庫化され、今でも書店に並んでいます。自己PRをしましたが、文庫は600円(消費税別)なので、良い投資になるのではないかと自負しております。