2017年1月25日水曜日

236:主要各大学の教育理念

多くの方々が日本の教育の重要性を語ってきている。
あるきっかけから、日本の大学の教育理念を調べる機会があった。
下記に記す大学を選んだ背景には特別な基準はないが、ご参考までに各大学の教育理念をご紹介することにする。

東京大学
1877年に創立された我が国最初の国立大学である東京大学は、国内外の様々な分野で指導的役割を果たしうる「世界的視野をもった市民エリート」(東京大学憲章)を育成することが、社会から負託された自らの使命であると考えています。このような使命のもとで本学が目指すのは、自国の歴史や文化に深い理解を示すとともに、国際的な広い視野を持ち、高度な専門知識を基盤に、問題を発見し、解決する意欲と能力を備え、市民としての公共的な責任を引き受けながら、強靭な開拓者精神を発揮して、自ら考え、行動できる人材の育成です。(以下略)

早稲田大学
・学問の独立
「学問の独立」は、「在野精神」「反骨の精神」と結び合います。早稲田大学は、自主独立の精神を持つ近代的国民の養成を理想として、権力や時勢に左右されない、科学的な教育・研究を行ってきました。
・学問の活用
もちろん、近代国家をめざす日本にとって、学問は現実に活かしうるものであること、日本の近代化に貢献するものであることが求められました。つまり「学問の活用」です。安易な実用主義ではなく「進取の精神」として、早稲田大学の大きな柱の一つになりました。
・模範国民の造就
庶民の教育を模範として創設された早稲田大学。その3つめの建学の理念が「模範国民の造就」です。グローバリゼーションが進展する現代、豊かな人間性を持った「地球市民の育成」と言い換えることができるでしょう。建学の理念とそこから生まれ受け継がれてきた早稲田スピリットは、私たちの財産。早稲田人がひとしく身につける校風です。

国際基督教大学
国際基督教大学(ICU)は、キリスト教の精神にもとづき、世界人権宣言のもと、平和を構築する地球市民としての教養と責任を身につけ、神と人とに奉仕する有為の人材を育成することを目的としています。その実現のため、3つの使命、すなわち学問への使命、キリスト教への使命、国際性への使命を掲げ、文理を超えた幅広い分野で所定の教育課程を修め、以下のような能力を身につけた者に対して学位を授与します。(以下略)

他にも、長くなってしまうのでまとめつつ転記すると、以下のようなものもあるようである。

慶應義塾大学
6つの理念。
・独立自尊
心身の独立を全うし、自らその身を尊重したるの品位を辱めざる者、之を独立自尊の人と言う。
・実学

科学(サイエンス)を指す。
・気品の泉源
人格を備えた社会の先導者となること。
・半学半教
教える者と学ぶ者の分を定めない。教員も学生も半分は教えて半分は学び続ける存在という、草創期からの精神。
・自我作古
我よりいにしえをなす。前人未到の新しい分野に挑戦し、困難や試練にも耐える勇気と使命感。
・社中協力
社中は、学生、卒業生、教職員など、全ての義塾関係者の総称。

上智大学
3つの建学の精神。
「キリスト教ヒューマニズム」「隣人性」「国際性」。

青山学院大学
キリスト教信仰にもとづく教育をめざし
神の前に真実に生き
真理を謙虚に追及し
愛と奉仕の精神をもって
すべての人と社会に対する責任を
進んで果たす人間の形成を目的とする。

各校それぞれの理念があり、それぞれの特色がよくあらわれていると思う。
何事においてもそうであるように、「何のために」という目的を明記すると同時に、時代の要請に合わせて修正することも必要であると思う。

2017年1月18日水曜日

235:歴史クイズ

たまには歴史にまつわるクイズでも紹介してみようかと思う。

例えば、米国大統領選が、今回のものも含め、なぜあのように長期間にわたり行われるのだろうか。
これにはもちろん、きちんとした理由が存在している。
クイズ形式にしてみたので、みなさんも選んでみてほしい。

① 民主主義国が選挙人に対し、十分に情報を与える期間が必要だから。
② 米国民を政治に対して関心を持たせるために必要だから。
③ お祭り好きの米国人に対する全国的なイベントとして。
④ 通信手段が未発達の時代のなごり。




正解は④である。
アメリカで通信手段がまだ発達していなかった頃、候補者は全国をまわり、自らの主張をそれぞれの土地で演説し、支持者を集めていかなけらばならなかった。
そのように広大なアメリカをめぐるのに、おおよそ1年をかけていた、というのが、現在まで制度として残っている、ということである。

もうひとつ問題を出してみたい。
今年は真珠湾攻撃75周年、昨年は太平洋戦争敗戦70周年であった。
戦争による犠牲や殺戮の起こらない世界社会を日本人は等しく望んでいる。

ところで、若い人たちを含む日本人の多くは、1945年9月に昭和天皇がマッカーサーと会見した際の写真を記憶しているのではないだろうか。
それは昭和天皇が礼装であるのに対し、マッカーサー元帥は、ノーネクタイ・ノージャケット、というきわめて衝撃的な写真であった。

そこでクイズ。
あの会見は、どこで行われたものか。

① 元連合軍総司令部、マッカーサーの部屋
② 宮中の拝謁の間
③ 駐日米国大使の公邸
④ スター・アンド・ストライプス新聞社の東京支社会議室




正解は③
赤坂にある米国大使公邸である。
当初は総司令部という案があったが、昭和天皇は反対され、最終的に米大使公邸に落ち着いた。
非常に有名な写真であるにもかかわらず、こういった事実を知っている人は実はあまりいないのではないか。
詳しく見れば、写真の背景にあるカーテンは大使館であることを示している。

最近クイズ番組がよくあるようだが、ただ雑学的なことばかりに終始するのではなく、たまにはこういった歴史的なことがらについて知識を得られるようなものがあってもよいのではないだろうか。

2017年1月11日水曜日

234:外交政策と西郷隆盛

トランプ氏が次期米国大統領に就任が決まり、またヨーロッパの現在の政治情勢のなかで、日本の外交姿勢がますます問われることになっていくことは間違いないだろう。

ここで、以前も紹介した、明治の元勲、西郷隆盛の言葉をもう一度みなさんとシェアしたい。


正道を踏み国家を以て斃るるの精神無くば、外国交際は全かる可からず。彼の強大に畏縮し、円滑を主として、曲げて彼の意に従順するときは、軽侮を招き、好親却って破れ、終に彼の制を受くるに至らん。 

ここで細かく用語を解釈することはしない。
みなさんがそれぞれに解釈していただければと思う。

またここで西郷の言っている「「正道」とは何か」「彼の意に従順するときは…」といったことは、現在でも極めて参考になることであり、西郷の言う「外国交際」は、現在の「外交」の原点にあるものではないか、と私は考える。

2017年1月1日日曜日

233:日本の出番か?

新春のお喜びを申し上げます。

あまり物騒なことをお正月早々書くな、とお叱りを受けるかもしれませんが、ひとりの国民として例によって持論を展開させて頂きます。

国際社会で大きな役割を担ってきた米国が、トランプの出現により、大きく変わろうとしている。
どのような政策が打ち出されるかは、現状誰も予見できない状態である。
また、ヨーロッパ主導の植民地政策の功罪が、テロリズムなどのかたちで世界秩序を混乱に陥れている。
こういったなかで、政治システムの違いはあるにせよ、政治的に安定している国は中国とロシアであるといういささか皮肉な状況になっている。

与野党から次期総理候補が見えない現状のなかで、欧米のように、彗星のごとくポピュリズム的指導者が現れる気配はない。
そこで、政権が安定している日本に逆説的に注目が集まってくることになるのではないだろうか。

世界情勢の変化のなかにおいても、平和国家にくらす日本人が望んでいることは、過去の戦争で亡くなった人々とその遺族に対しての深い悲しみと反省から、日本が世界社会に対して何ができるかを模索することではないだろうか。
先進国のなかで日本ほど戦争のない状況に対して熱い想いを持っている国民はいないのではないかと思う。

この想いを具体的に戦略(将来の方向と重要施策領域)に形成していくことが望まれる。
TPPの推進、領土問題と並列に、より次元の高い平和実現に対する模索がなされることを期待する。
このことは唯一の被爆国であり、国際紛争の解決に武力を用いないという憲法9条の精神をどのように生かして国の政策として構築できるか、という血のにじむような真剣な議論を開始し、結論を出さなくてはならない。