2017年9月13日水曜日

276:花粉の話

友人の米国人の受け売りだが、米国中西部の農場主についての話である。
この農場主は品種改良に熱心で、独自にとうもろこしの新種をつくることに成功し、近隣の農場よりも非常に大きな収穫を得ていた。
しかし、詳しく検証すると年によって収穫量にバラつきがあった。
この原因を考えると、気候条件によって、隣の農場から劣性の花粉が飛んできており、これが収穫量に影響しているのではないかということに彼は思い当たった。
風に乗って飛んできてしまうものである以上、この花粉を防ぐ方策はない。
そこで彼はあえて新種を近隣の農場に分けてゆき、結果、地域全体は栄えたということだった。

ここまで、特記すべきことはない。
しかし、私の友人がここから続けたことが興味深かった。
曰く、コミュニケーションのなかで人間の発信する情報は、上の話の花粉と同じように、実はどこでどのように実を結んでいるのか追跡できないものなのだ。
だからこそ我々ができるだけ「良い花粉」を発信することが、個人だけでなく世の中を良くしていくことにつながるのではないか、ということだった。

今日のIT時代、テレビやインターネットでも、「良くない花粉」がばらまかれてはいないだろうか。
もちろんメディアに限ったことではなく、本質的な事柄について考えさせるような「良いconversation」がなされることを期待したいものである。

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