2014年8月14日木曜日

46:論理(筋が通る議論)、感性(物事を深く心に感じ取る働き)、行動(とにかくやってみる)

最もユニークな企業として世界で活躍しているホンダの話をしようかと思います。


ホンダが、日本の自動車メーカーとして米国に一号工場を建設したことはよく知られています。
当時私はコンサルタントとしてこの重要なテーマに参加しました。
熱海にあった「デシジョン・ルーム」というところで、河島喜好二代目社長(故人)以下、全役員の参加した五日間の合宿研修でした。


爾来、ホンダには大変お世話になり、私が展開していた論理的な思考様式を全社の社風の一部とされました。創業者の本田宗一郎翁は、常々「論理なきところ、行動なし」と言われ、ものを決める場合の論理性・合理性を重要視されていました。
そして、ホンダグループ全体の社風・文化が、「ラショナル(論理的・合理的)」になり、このことがその当時の週刊文春に取り上げられたこともありました。


また、ホンダのもう一つの側面が、論理に全く関係のない、人間の感性に関するものであると思います。


晩年の本田翁の秘書を務めたある人物がいます。
彼によれば、本田翁が散歩をするときなど、よくお供をしたそうです。
あるとき、道端に美しい小さな草花が咲いていたのを本田翁が見つけました。
普通であれば、そのまま通り過ぎるでしょうが、彼は「こんな綺麗な花は見たことがない!」と大感激し、しばらく立ったまま観察していたところ、やおら地面に横たわり、至近距離から花をご覧になった、ということでした。

本多翁をはじめ、ホンダの役員の方は、この感性を磨くために、「一流のものに常に接することが必要です」と、言われてきました。だから、世界のオーケストラの演奏の鑑賞や、世界の名画に接するといったことを、日常茶飯事にされていたようです。


感動があるから行動があり、その行動が論理的でなければ、成功はおぼつかない。例の秘書はこのように感じたとのことでした。


ちなみに、本田翁のお別れの会は青山の本社で行われ、飾られていた花は全てコスモスでありました。
ご挨拶に立たれていた喪主は、ご夫人ひとりでありました。
ここにも、あの偉大なホンダを創設した人物の人間性の一面を見たように思い、私もまた「感動」したのでした。

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