2017年6月7日水曜日

259:win-winの関係

現在、広く普及している語のひとつが「win-winの関係」と言われるものだろう。
私には出典はわからないが、政治家をはじめとして、多くの人が使っているのを耳にするようになった。
今回はこのwin-winということについて書いてみたい。

さて、私の友人で、家族とともにパプア・ニューギニアで20年近く暮らしていた人物がいる。
この友人の話では、パプア・ニューギニアでも部族間の対立があり、それが殺戮に発展する場合もあったという。
では、当地の部族の人々は、いったいこの殺戮にどのように対処するのだろうか。
彼によれば、しばらく戦闘が続いた後、やがて対立する部族の長老同士がひそかに会談し、戦争をやめることに決めてしまうのだという。
そして、長老はそれぞれの集落に帰ると、部族の人々に、「私たちが勝っているのだから、もう争いはやめにしてやろう」と言うのだそうだ。
結果、どちらの部族も「自分たちは勝ったのだ」という満足を得つつ、無事争いはおさまってしまうのだそうだ。

これこそまさしく、文字通りに"win-win"な解決法ではないだろうか。
だからこの"win-win"という言葉は、特別いま祭り上げるべきものでもなく、ある意味では、太古からの知恵として存在しているのである。
少なくとも私は、この挿話を驚きと笑いで受け止めた。
現代の私たちも、つい囚われがちな西洋的な発想にこだわることなく、このような人類の叡智から学ぶものがまだまだあるのではないだろうか。

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