2017年7月1日土曜日

263:選挙って何?

東京都議選を控えて、有権者としてひとこと言わねばならないだろう。

現在、多くの日本人が政治や選挙に対してあまり関心を持たない。
しかし一方で、今日の閉塞状況を何とかしたいという人も多いだろう。

日本人が持つ問題意識を政治が取り上げ、具体的な政策をつくり、国会に諮り、現状打破のために世の中を一歩進ませるというのが本来の姿だろう。
もちろん現状は、このようなあるべき姿からほど遠い。

選挙というのは、複数の候補者の中から、個々の日本人が自分の代弁者として議員を選び、社会という組織の運営を任せる、ということであろう。
その基本的な機能がはたらいていない原因を、真摯に考える必要がある。

選挙は、複数の候補から選ぶことであると書いたが、選ぶに際して、当然ながら、候補者(選択肢)に関する情報がなければ適切に行うことはできない。

7月2日の投票日に先立ち、都民に対する選挙公報が私の家のポストに投函されたのが、選挙6日前の6月26日のことであった。
様々な個々のマニフェストめいたものは大々的に印刷されていたが、しかし、各候補がどのような実績を持ち、何を目標として都政を行うのか、ということがそこでは明確に書かれていなかった。
さらに言えば、政治家としての信条をそこから読み取ることはまったくできなかった。
書かれていたスローガンは、例えば「結果を出す」「すぐ動く。新しい東京、目黒から」。
すこし情けない気持ちになりはしないだろうか。

これに追い打ちをかけるように、先日ある候補事務所から電話がかかってきた。
「○○候補に一票を入れてください」と言うので、「その根拠は何か」と問うと、「他党に先駆けて議員報酬を20%削減しました」と応えた。
「あなたの党だけでそれを実現したのか」とさらに訊くと、「そうです」と言う(民主主義の議会でそんなことがあり得るだろうか?)。
「ではところで、それによって議員報酬はいくらからいくらになったのか」と問うと、「不勉強で、知りません」とのことだった。

以下簡略に記すが、他にも

「世帯年収760万円未満までの私立高校無償化を行いました」
「該当する世帯数はどのくらいあるのか」
「分かりません」

「それによって都が負担する総額はいくらになったのか」
「分かりません」

だらだらと書いたが、選挙運動の実態はこんなものである。

これは国政の話だが、ひと昔前にあった立ち合い演説会はなくなり、テレビでの政見発表もまったく影が薄くなってしまった。
「民意を反映する」と二言目には言う議員の方々には、民主主義の制度に関する日本人の無関心について、真剣に考えてほしい。
くれぐれも、有識者を集め、委員会をつくることにばかり終始するようなことは辞めていただきたいのだ。

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