2017年7月22日土曜日

267:軍事予算の平和利用

これまでのトランプ大統領の不規則な発言のなかで、世界の安全保障に大きな影響を及ぼすものが、軍事予算の増額についてのものである。
ヨーロッパ各国に対しても、対GNPで2%を達成するように圧力をかけているという。

憲法9条を持つ平和国家日本は過去70年来、国防予算はGNPの1%を超えないという不文律があった。
先の第二次世界大戦で世界に迷惑をかけ、また唯一の被爆を経験した国である日本は、敗戦後に奇跡的な復興を成し遂げた結果、戦争反対、つまり具体的には軍事予算を増やさない国となった。
世界の趨勢が軍事拡大にあるとはいえ、考えなしにそのような傾向に便乗することには慎重でいたい。
何か反対の声を上げる必要があるのではないだろうか。

そのように、安直な軍事拡大に抵抗することが、日本から発信する世界社会へのメッセージのひとつではないだろうか。
たとえば、軍事予算の一部を非軍事目的に転用する、というくらいの発想の転換を望みたい。

ちなみに、この軍事費の非軍事目的への活用の前例は、実は冒頭で触れた国である、アメリカにあった。
戦中・戦後を経験していない多くの日本人にとっては新しい知識かもしれないが、戦後の復興期に米国から日本に支出されたガリオア資金(Government Appropriation for Relief in Occupied Area Fund)・エロア資金(Economic Rehabilitation in Occupied Area Fund)というものがあった。
この膨大な基金を支出したアメリカの意図は、人道的なものであった一方で、政治的なものでもあった、とされるが、これらが日本の戦後の復興に多大な貢献をしたことは否定できない。
そしてこの両資金が、実は米国政府の国防省から支出されていたという事実は、非常に示唆に富んでいるのではないか。

このような発想が、今日の軍拡に歯止めをかけるものになり得ると思われるのだが、いかがだろうか。

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