2017年8月16日水曜日

271:目的と手段の混同

今回はちょっとした問題を出してみたいと思う。
いささか易しいかもしれないが、挑戦してみていただきたい。

<問題>
某国政府は、年々国政選挙の投票率が低下していることを懸念している。
この状況は、地方選挙でも同様である。
選挙の投票率を上げる方法を検討するために、委員会が設立された。
「候補者に有名な女優を起用しては?」との案が出されたが却下された。
他に出た案は、選挙日の曜日の変更、選挙時間の延長、投票に対する報奨制度、3年間投票しない人に対する罰則制度などである。
選挙の投票率を上げることにつながる最も効果的な方法を以下から選びなさい。

(A) 投票率の高い他の国の選挙制度を研究して別の案を考える。
(B) それぞれの提案、特に報奨制度と罰則制度についての是非を検討する。
(C) 民主主義社会における投票の責任と権利について、国民を教育するための全国キャンペーンを行う。
(D) 解決策を検討する前に、投票率が高い地域と低い地域を選び、なぜ差があるか考える。





<解答・解説>
A、Cは、実態の把握と投票率が低い原因を確定する前に方法論に短絡していることが最善とは言えない点である。
目的と手段を混同せず、どのような諸目的をまず明確にしたうえで、それらを達成する手段を構築するべきである。

Bについては、まず上のような目的と手段の混同ということが言える。
さらに言えば、既に提示されている案の評価(「是非」)にすぎず、新しい発想につながらないという欠点がある。

問題とされている状況に対し適切な対応をするためには、当然のこととしてなぜ問題が発生しているかの諸原因を明らかにする必要がある。
これがなければ抜本的な対策とはならず、結果として暫定対策の繰り返しに陥ることになるのである。
これは、貴重な(経営・政治等の)資源の浪費につながることは言うまでもない。
よって、解答は、Dとなる。

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