2018年1月9日火曜日

292:フラストレーションをプラスのエネルギーに変える その2

年頭に当たり、私もたくさんの年賀状をいただいた。
日本の文化習慣である年賀状の数は、欧米で交わされるクリスマスカードの比ではない。
余談だが、最近アメリカでは「メリークリスマス」というクリスマスカードはほとんど見かけなくなった。
基本的には"Season's Greeting"つまり年末のあいさつに代わってきている。
これにはおそらく、他宗教への配慮といった文脈によるものである。
さらに余計なことだが、とすればアメリカの硬貨や裁判所に刻まれた"In God We Trust"の文言などは例えばどうするのだろう? といった疑問も湧くが、それは置いておこう。

とはいえ、世界で最も影響力のある国ですらこのような矛盾を抱えている。
ドイツのメルケル首相、イギリスのメイ、フランスの̄マクロンのリーダーシップも決して安定したものではない。
我が国ではODAという途上国援助の予算も激減している。
そして独立した旧植民地各国も、そのすべてが経済的に独立し、安定しているとはいいがたい。
2018年は、このような状況下で平和国家日本はどう対処するのか、という大きな転換期のはじまりとなる年になるのではないか、と思う。

さて、前回のつづきの内容に関して書こうと思う。 前回「その1」で述べた国民的フラストレーションの背景にあるもののひとつは、これまで機能していた世界秩序が崩壊してしまったことに対して、誰も新しい方向性を打ち出していないことにあるように思う。
また平和に関しては、先進諸国による平和研究機関も、その成果に乏しい。
さらに、G7諸国のいくつかにおいては、その国益を守るという大義のもとでの、予測不可能な行動が目立つ。
結果として、安全保障という大義のもとに、防衛力強化のための高度な殺戮兵器への開発投資が進んでいる。
さらに、196もの国が加盟する国連が、平和維持の危機に際して迅速な対応を行うことを期待するのも難しい。

強大な経済力と軍事力を持ち、自国の影響を世界地図上へ拡大しようと試みる国家でさえ、泥にまみれた表現である「世界平和のために最大限の努力を惜しまない」と豪語している。
このスローガンを唱えている諸国が、実際にどの程度本気であるのかが問われているのではないか。
過去の戦争という負の遺産に対し、それを忘れないよう努力する日本人にとって、戦争の悲惨さを語り継ぐと同時に、平和の実現に対して、具体的な方策の提言を日本から世界へ向けて発信できないものだろうか。

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