2018年5月5日土曜日

304:リスクを取ることの意味

元気のある企業や組織は将来に向けてリスクを取っている。
この「リスク」という言葉は、天下の広辞苑でも「危険」という程度の説明しかされていない。

しかし私は経験的に、リスクを三分類して考える。
まず、「起こり得る損害(damage)」。
次に、「起こり得る損傷(injury)」。
最後に、「起こり得る損失(loss)」。

例えば、価格競争に負ける、技術開発が遅れる、収益の低下、技術の漏洩、機会損失……
などと、企業で言えば様々な問題が考えられるだろうが、これらはその性格に応じて分類ができるということだ。

さて、広辞苑の説明などが示すように、「リスク」という言葉にはネガティヴな意味ばかりが与えられているように思われる。

しかし実際には「リスクを取る」ことが「危険」であり、ネガティヴなものであるのは、リスク(起こり得る諸問題)への対策がきちんとなされていない場合においてなのだ。
つまり、リスクを取り、例に挙げたような不利な状況が発生した場合に現実的に打つ手を想定・策定していれば、リスクを取るということ自体、マイナスな意味にはならないはずなのである。

例えば価格競争に敗れた場合においての現実的な対応策が考えられ、講じられるのであれば、リスク(損害、損傷、損失)に対して対策を打つことになり、結果としてリスクを克服することになる。

つまり、「リスクを取る」ということは、実は、「危険を冒す」ことなどでは全くないのである。
むしろ「危険」を、具体的に起こり得る現象として複数想定し、それらへの対策の有無を判断することが「リスクを取る」ということの本質であると言えないだろうか。

0 件のコメント:

コメントを投稿