2014年2月21日金曜日

9:「経営」という日本語

多くの友人に「経営」という言葉はいつごろから日本で使われ始めた言葉か、と質問すると、おおかたの答えは「江戸、明治」となります。私自身も、「経営」は米国のmanagementの概念を日本に紹介する際に定着したものだと考えていました。

ところが、なんと、この言葉は平家物語に次のように登場しているのです。以下引用。
粧鏡翠帳の基戈林釣渚の館槐棘の座燕鸞の栖多日の経営を空しうして片時の灰燼と成り果てぬ」。


だいぶ前の話になりますが、ある言葉を『広辞苑』で調べようと思い、開いた頁にたまたま「経営」の語がありました。この定義(第一版のもの)を引用すると「①縄張をして営み造ること。規模を定め基礎を立てて物事を営むこと。」とあります。現在の意味で言えば、「戦略」という言葉に該当し、資源を何に重点的に投資するか、という判断と解釈できるのではないでしょうか。

また「②工夫を凝らして物事を営むこと。」ともあります。これは日常のオペレーションにおける創意工夫と言えるでしょう。

「③継続的事業を経済的に成し遂げるために工夫した仕組。」、これは今日的に言えば「組織」に該当すると思われます。


このように、経営学にある主要概念は、実はすべて日本の先達の知恵にも既に存在していたのだと言っても過言ではないのです。
現代の日本人は、もっと先達から様々なことを学ばなければならないと認識します。


このことに関して、拙著『日本流・ロジカル思考の技術(PHPビジネス新書)』の宣伝をさせてもらいます。

0 件のコメント:

コメントを投稿