2015年2月18日水曜日

84:知識偏重教育の限界 その2

唐突かもしれませんが、手元の広辞苑で「思考」という語を引くと、「問題または課題に出発し、結論を導く観念の過程。(中略)或いは、概念または言葉などによる問題解決の過程」とあります。
ただこれは昭和30年発行の第一版で、やはり手元にある新しい版(大六版)では、このよくできた説明は改悪されているようです。


この考え方が英語で言うところのConceptual Skillというものです。
これはいわゆる日本語で「コンセプト」と言うときにつきまとう、「コンセプトを構築する」という発想とは全く異なったものであることに注意してください。
言い換えれば、直面する状況が何であれ、どのような思考過程を以て結論を出すことが最も合理的であるか、ということが判断できる能力なのである、ということです。
さらに言うと、欧米において、企業のCEOが異業種に転職してもすぐに仕事に取り掛かることが出来るということ、このことを支えているものこそ、Conceptual Skillの経験であるはずです。


日本の教育にも、こういったConceptual Skill的な発想を導入する必要があるのではないでしょうか。
伝統的に「優秀な」日本人の意思決定者は、実践において思考錯誤を続けながら、自分なりの思考様式を構築しているはずです。
しかしこれは「名人芸」であって、簡単に伝授することが困難であり、口伝・秘伝の領域とされていたのではないでしょうか。
この領域を現代の教育にいかに生かすことが出来るのか、というのが日本の教育の今日的課題だと思います。

0 件のコメント:

コメントを投稿