2016年3月16日水曜日

174:問題解決と論理思考力②

以前の記事に引き続き、TOLAPから、問題を出題することにする。
関心のある方は、ぜひ取り組んで頂きたい。




設問②


製缶メーカーのD社はジュースやチューハイの缶を製造し、全国に販売する企業であり、毎年安定した業績を維持している。
しかし昨日の午後、大口顧客Aからある新製品の特定ロットが変色しているというクレームがきた。当ロットは、Aのライバル社Bにも納品されている。D社は、過去、同様のクレーム処理に膨大な費用を費やした経験があり、担当事業部には迅速な対応が求められている。
担当事業部の部長として最も優先的にすべき指示を、下記の中から選びなさい。


A 当該ロットの製品を、すべて市場から回収する
B 当該製品の分析を徹底的に行う
C 特定ロットに対する顧客Bからのクレームの有無を確認する
D 事業部の総力をあげて問題解決に取り組むと顧客Aに宣言させる


解説
この設問は「問題の原因を論理的に究明する力」を問う問題である。


この設問では、「比較」という思考プロセスを持って問題の原因を究明するスキルがあるかを問うている。
同ロットの出荷先において、同様のクレームがないかどうかを調べなければ、同ロットの全数に問題があるのか、一部に問題があるのかがわからない。


Aは「クレームのあった特定ロットに問題がある」との先入観に基づく行動で、他の顧客にも同様の問題があるかないかを確認せずにすべての製品を回収すれば、それは経営資源のムダ遣いになる可能性がある。したがって、この状況下で最も優先して行うべき行動とはいえず、正解ではない。
Bでは、原因究明作業をクレームが出た製品に集中してしまうと、原因究明は大幅に遅れる可能性がある。こうしたクレームがきたら、「他との比較」を発想することが重要である。したがって正解ではない。
Cは、他の出荷先Bに同様な問題があるかないかの確認を指示しており、「他との比較」を行おうとしている。これにより、もし製造ロットが問題でないときの経営資源の無駄遣いを回避できる。よってCが正解。
Dは一見もっともらしく見えるかもしれないが、指示が分析的、具体的でなく、真の原因究明にはつながらない。

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