2017年2月2日木曜日

237:世界秩序はどうなるのか

本題に入る前に、なぜ私のような年配者が好き好んでこのような発信をするかについて述べたい。
世の中の大きな変革期を前にしたとき、いちばん危険なことは、「仕方がない」「どうしようもない」といったように現実から目を背け、あきらめ、想像性や夢の芽を潰してしまうことだ。
悲劇はそこから始まるのである。
日本人のひとりとして、傍観することが危険であるという認識から、このブログを続けることにしたい。

ところで、米国民は民主主義という制度に則ったかたちで、ドナルド・トランプという人物を大統領にしてしまった。
これに対し言いたいことはたくさんあるが、日本人として発信したいことのひとつは、トランプ大統領が持つ国際感覚についてである。
それは、彼の日本への無知に対し、いちいち説明をして理解を求めるといった対応をとるのは建設的でないことを認識したいということだ。
日本はそれよりも、トランプ大統領の本質的な東洋に対する見方を踏まえた上で、氏に対峙する必要があるだろう。

最近の報道によると、トランプ大統領は日本を中国と同列で指弾している。
曰く、「日本と中国は、過去通貨切り下げを行い、市場を弄んだ」と言ったということである。

日本は民主主義を尊ぶ国であり、米国との共通の理念を持つ、中国とは社会体制も異なった国である。
しかし、このことをトランプ氏に理解させることは不可能だ。
したがって日本は、これを前提に米国と付き合わなければならないのである。


総理は昨年11月の会談でトランプ氏を「信頼できる指導者だ」と評した。
しかし、「信頼関係」というものはあくまで結果としてあるものである。
「信頼関係」ははじめからあるものではないということだ。
対立や利害の不一致を理性的に、知恵を以て解決した結果として、それは生じるものであることを理解したい。
対立する主張を有利に導くためには、駆け引きも必要になってくるのである。

例えば、2月1日の北海道新聞によれば、1月28日、安倍首相とトランプ氏は「日米同盟のゆるぎない姿を世界に発信していくことで一致した」ということだが、しかしトランプ氏はこの「一致」の後、舌の根も乾かないうちに、最初に挙げたような日本と中国を同一視し、攻撃する発言をしたのである。

我が総理が言う「信頼関係」では、このような状況への対応は不可能だ。
つまり現実には、緊張の連続のなかで、ソリューションを見つけるべく理性的な対応が必要なのだ。

また、安倍総理のスケジュールに関して、本年2月10日にワシントンに行き首脳会談、11日にフロリダに行きトランプ氏所有のゴルフ場でプレイを楽しむというような調整が外務省では取られているとの報道もされている。
大統領就任後、ひと月も経たないにもかかわらず、多忙な大統領がフロリダで日本の首相との「信頼関係」のためにゴルフをするということが現実的にあり得る話なのだろうか。
調整の結果について、幸運を祈ると私は述べるのみである。

ことほど左様に、新大統領のご機嫌伺い、すなわちトランプ氏が日本の立場を理解していたら……というスタンスは、追従以外の何物でもないことを認識したい。

さて、トランプ氏の中東・アフリカ7か国からの入国禁止の政策に対し、フランス・ドイツ・イギリス・カナダの首脳からの批判が出たようだ。
日本は沈黙を保っていて良いのだろうか。

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