2017年3月8日水曜日

243:国際競争力強化への一考察

グローバル人材の育成については多くが語られてきた。
国を挙げてのこの問題についての対処はかなりの進捗があったと思う。

ところで、企業存続のために外国企業の買収が盛んにおこなわれている。
とはいえ、最近の東芝の例を見ても、海外企業の買収にも様々な難しさがあるということが浮き彫りになっている。

製造業の組織をおおざっぱに分類すると、技術開発、生産技術、製造技術といったものづくりの側面と、人事、総務、購買、マーケティング、広報などの諸活動というもう一方の側面に分けることができる。
このふたつの側面を実に見事に分担し、世界企業として冠たる実績を残している日本企業が本田技研工業である。
ご存じの方も多いかもしれないが、本田宗一郎氏はものづくりに専念し、藤沢武夫副社長がマーケティング、総務、人事などの組織の運営に関する領域を担ったのである。
これは成功をおさめ、今日も世界中でこのふたつの柱での運営が続いているのではないかと思う。

さて、上に挙げた非製造領域で特に注意が必要な領域が人事である。
本社の人事部門が採用から処遇、昇進に至る権限を持っている企業は、日本以外にはないだろう。
そして多くの場合、事業部長が人事権を持つことが多いようだ。
これは、部下に対し年度内に達成すべき諸目標を合議のもとに部下と確立し、年度末にそれを評価するというシステムである。

海外に進出している日本企業の海外担当の役員は、各地域の日本人の責任者の行動はよく把握している。
しかし、国際オペレーションにおいて何か国の人たちが配下にいるかという質問に即座に答えられる人はまず少ないだろう。
そして、海外拠点における給与体系や各種の処遇なども統一されていないのではないかと思う。
こういったことは、日本企業の海外進出において障害のひとつとなるのではないか。

国際的な組織として安定成長を目指す場合、世界社会全体をカバーする統一された人事関連の制度が必要となるだろう。
なぜなら、現代のグローバルな日本企業ではすでに、企業内における国際的な人事異動が頻繁に起こっているからだ。

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