2014年4月26日土曜日

23:日本人の思考法は異質か?

だいぶ前の話になりますが、日本で成功している外資系の本社幹部に「日本的な意思決定」について40名ほどに講演をしてほしい、と頼まれたことがありました。
その背景は、日本人と議論が食い合わないので、どのようにしたら日本人スタッフと問題解決が効率的にできるかを理解するためのものでありました。


私は、冒頭で2つの質問をしました。
1つは「日本人の思考法は特異か?」
これに対して全員が手を挙げたのです。
この衝撃的な場景をいまでも鮮明に記憶しています。


2つは「では、日本人の論理はみなさんと違うか?」
一方、これに対しては2、3の挙手しかありませんでした。


これは何を意味するのでしょうか。
日本人はもともと論理的な素養を持っているのです。その証明は、数学・物理や技術的な業績に表れているでしょう。
ところが、250年の鎖国により、多文化との接触が極めて少ない状況の中でシステマティックにものごとを考える必要があまりなくなり、共有できるプロセスとして思考法を整理・確立するチャンスを失ったのかもしれません。


この背景をふまえて、国際場面で通用する思考プロセスを確立し、教育することが急務ではないかと思いますし、それは難しいことではないのです。
なぜならそれは新しい論理を学習することではないからです。
日本人の中にすでにあるものを点検・再整理する、という作業以外の何物でもないからです。


優秀な音楽の演奏者を集めて合奏をするときに、「楽譜」という共通の枠組みがなければ演奏は成り立ちません。
日本人がこれからすべき課題のひとつは、この「思考の楽譜」を身に付けることであり、そのためには国家レベルで簡単なプロセス思考の基本を確立して普及させなければならないと思います。



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