2016年1月12日火曜日

163:消費と浪費

1960年代、米国留学時に驚いたことがある。
それは、紙製のハンドタオルが公共の施設に備え付けてあったということだ。
当時の日本に不足していた物資のひとつが紙であった。
なんとその紙が、米国ではこのように用いられているのだ、とささやかなカルチャーショックを感じたものだった。


しかしながら一方で、そのハンドタオルの箱には、次のようなことが書かれていた。
“Don't take two, if one would do.”
「一枚で済むなら、二枚は取るな。」


モノが豊かになった日本社会で、「消費」と「浪費」が使い分けられているか、甚だ疑問に思う。
日本人の発想の中に、「もったいない」というものがある。
これには、「消費」、つまりある目的のためにモノを効率的に使うことは許されても、無意味に使うことはいけない、という考えがあるだろう。


政府の発表によると、来年度予算は96.7兆円ということである。
その財源を考えると、悲観を通り越して笑いがこみあげても来るものだ。
日本中の最大の「浪費(ムダ)」は、96.7兆円に示されているような、国民が納める義務があるとされている、税金のムダ使いである。


納税者は心して税金の使われ方を監視し、ものを言わなければならない。
問題は、誰に対してムダの摘発をしたらよいのだろうか、ということだ。
政治家は取り合わない。
役所は無視をする。
マスメディアは無関心だ。


われわれ納税者みずからがしっかりしなければならないのではないだろうか。

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