2016年5月14日土曜日

181:問題解決と意思決定、問題と課題

問題解決という言葉ほど垢にまみれて長期間使われてきた熟語はないだろう。
先月91歳で亡くなった、私の恩師であり友人のC.H.Kepner博士は、問題を次のように定義した。
「問題とは、あるべき姿に対する逸脱が発生し、そこにギャップが生じている状態」
この定義が比較的広く現在でもつかわれている。


これを踏まえて、問題解決と意思決定という、簡単に使われ、混同されもするふたつの言葉の関連について考えたい。
要は、どちらを上位概念として位置付けるかである。


意思決定がなされているという「あるべき姿」に対して、なされていないという逸脱が発生しているのであれば、この状況を「問題」として差支えない(問題解決が上位概念)。
あるべき姿からの逸脱という状況を改善するために最適な選択肢を決定するということもまた考えられるだろう(意思決定が上位概念)。


どちらを上位概念にもっていくかは当事者が判断することであり、一概には言えないけれども、このような整理をすることにより、分析の効率が改善されると思う。
言葉の定義や、その関連について、きちんと確認をしながら物事を考えたいものである。






また、問題解決ということについてもう少し考えたい。
問題解決をするとき、多くの場合、問題を処理しやすい諸要因に分けて、それらを課題として扱うという智慧が必要である。


「問題」という語の他に、「課題」という語が登場してしまい、ややこしくなってきてしまったかもしれないが、「課題」をここで簡単に定義すれば、「次にとる行動」のことである。
次にとる行動とは例えば、原因を究明する、選択肢を選ぶ、リスクへの対応を講じる、調査を行う、実態を把握する、優先順位を付けるなどである。
よって、次にとる行動が示唆され、理解されているときにしか「課題」という表現はふさわしくない。


従って、平たく言ってしまえば、問題解決というものは、問題が分割され、結果生じた諸課題が処理されることで達成される、と考えるのがよいだろう。




ちなみに、問題解決の手法を経験的に分類すると、下記のようになる。
・経験や知識から状況を把握して、解決策を引き出す
・直観によって解決策を導く(過去に同一の現象があれば、それが参考になる場合もある。しかし、同じような現象でも原因が違う場合もあるので注意)
・ある種の天才的なひらめきによって解決策を得る
・論理的な分析によって問題を解決する


もちろん4つ目の論理的な分析が、私がここで強調したいものだ。
とはいえ、私の経験では、直面する問題の8割程度は第一と第二のアプローチで処理できてしまう。
しかしこれでは上手くいかないことも存在するのである。

よく考え、根拠を明確にして、論理的に結論を出す、ということが、このときなくてはならないものなのである。

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