2016年5月25日水曜日

184:思考資源の開発 その1

178号でも触れたが、日本の優秀な頭脳集団を効率的に機能させるためには、現状を打破する何らかの試みが必要と思われる。
私は2010年に、有志とともに「思考資源開発機構」なるものの設立を試みたことがある。
現在においてもその必要性を感じる。


組織が行う意思決定の生産性を高めることが企業競争力の強化に欠かせない側面であることに異論はないだろう。
生産性を高めることは、組織が行う意思決定業務に共通の思考様式を導入することである。


音楽を例にとれば、洋楽には5線譜という約束事がある。
そのため演奏者は楽譜があることにより、合奏が可能となる。
これは共通の約束事を、各員が理解しているためである。
これに引き換え、日本の組織においては、「楽譜」に相当する共通のルールが存在しない。
そのため、「合奏」する場面で混乱が起きるのである。


さて、みなさんにもこの領域に対して関心をもってもらうために、例によってクイズを差し上げることにしたい。




ある組織において、統括部長は管理職会議の方法を改善しなければならないと感じている。というのは、現状は会議にまとまりがなく、とりわけ口数の多いメンバーが支配しがちで、実質的に何も成果が得られないまま多くの時間を費やしている状態である。
このような状況において、取り組むべき課題を明らかにしていく上で最も論理的な手順を表しているものを選びなさい。
①優先度を設定する。
②問題・関心事・課題を挙げる。
③どのように結論を出すかを決める。
④状況分析の範囲を限定する。
⑤全体像を見直す。
⑥複雑な問題を分析できるレベルまで細分化する。


(A)①→③→⑤→④→②→⑥
(B)④→②→⑥→①→③→⑤
(C)④→③→⑥→②→①→⑤
(D)⑤→⑥→②→③→①→④








ここで、議論が噛み合わないということは、ある参加者は(A)の手順で発想し、その上司が(C)に固執するような場合のことだ。
これではものごとを議論する前提自体で混乱が起こってしまうことになるだろう。
そこで解答を示すなら、(A)~(D)でムダの少ない効率的な議論の手順は(B)である。


状況分析の範囲を決める→その範疇に存在する問題を列挙する→複雑な問題を、処理しやすい部分に分解する→複数化された問題に優先順位をつける→どのように結論を出すのか決める→全体像を見直す


以上でお分かりのように、結論が求められる会議等においては、集中討議ができるように、結論に至る段取りの理解を共有することが重要である。

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