2016年6月11日土曜日

188:「再発防止」の意味

企業で不祥事が起きたときに、ほとんどの場合、当該企業のCEOおよび担当役員が記者会見を行い、判で押したように90°の角度で頭を下げる。
その際、取材記者から、「再発防止の具体的な方策は何か」という質問は、ほとんど聞かれない。
本来ならば、不祥事の真の原因を追究して、その原因をどのように取り除くのかということが確認されなければ、本当の再発防止にはならないのではないか。


余談になるが、なぜ判で押したように責任者が90°頭を下げるのか気になったことがある。
調べてみれば、広告代理店やPR会社が、「不祥事発生時の記者会見のリハーサル」を企画し、企業に売り込んでいる、ということだった。
リハーサルの模様をビデオに録り、評価やアドバイスを行うというものだそうだ。
これは大変いい商売であるらしい。
なんとも情けない話であるようにも思われるのだが。




話を戻すと、「再発防止」ということについて、単に「心を入れ替えます」という精神論だけでは意味がないのである。
もちろん誠意をみせ、きちんと謝罪するということは日本社会では必要なことではあるのだが、一方で問題現象の原因(複合原因の場合もある)をきちんと想定し、検証して、それを除去するための諸対策を確認することなしに再発防止は担保できないのである。


「不祥事」というのは、必ず過去におきたことであるのだから、事実としての情報が、確実に存在しているはずなのだ。
「不祥事」が起きたときに、それをもたらすどのような諸変化(諸原因)が存在したのか、ということを、企業はきちんと考えなければならないし、またマスメディアもそのことをきちんと問わねばならない、と私は考える。

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