2015年7月22日水曜日

122:知識の質問と智力の質問

前号の内容に、質問は3つの目的で分けて考えるとよいということを書きました。
その第二の目的に「判断業務に関わる情報を収集する」ということがありましたが、これはさらに、大きく2つの性格の質問に分けることができます。
今回はそのことについて少し書きたいと思います。


日本語の「知恵」にあたる中国語は「智力」だということを前に書きました。
この知力の定義は、ある案件に十分な知識がなくても問題解決ができる能力、と中国のある学者は定義しました。


知識にのみ頼って問題解決をしてきた人たちを、私はものごとを「こなす」達人と言います。
これに対して、十分な知識がなくても、自身の論理的な枠組みを駆使することにより、直面する問題がどんなものであっても結論を出すことのできる人たちを、ものごとを「捌く」達人であると言ってきました。


仕事を「こなす」ということは、自分の専門領域内であれば、効率よく達成できるでしょう。
ところがそこに新しい要素が入ると、自信を失うことになるかもしれません。


知識に頼る人は、ある問題事項に対して、「この成分は何か」「この設計はどうなっているか」などの内容(content)に関わる質問をしがちです。
これが彼らの知識に沿っていれば「こなす」ことができるでしょうが、専門外のことであれば対応するのは難しいでしょう。


対して、智力のある人は、ある問題事項に対して「これはあれと比べて何が違うのか」という質問を発します。
彼らは似たものと比較することで対象の特徴をつかんでいき、結論へと思考を絞り込んでいくことができます。
これを結論への過程(process)の質問と言うことが出来るでしょう。


このように、「判断業務に関わる情報を収集するための質問」にも大きく2種類あるということが言えるのではないでしょうか。

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