2014年12月20日土曜日

69:第47回衆院選の投票率 その1

総務省の発表によると、今回の選挙の投票率は52.66%と戦後最低の結果でありました。
この数字を見て、問題意識を持った国民が多くいてほしいと思います。


市民が比較的安心し、安全な国の選挙率を調べてみるとどうなるでしょう。
スウェーデン・アイスランド・デンマークは8割以上、ドイツ・イギリスで7割前後、米国はその特殊な事情から予想より低い42%という数字が並びます。
米国の実態を私が弁解するつもりはありませんが、いわゆる知識層における投票率はかなり高いと思われます。


また投票に行かなかった場合に罰則がある国もあるようです。
このような国の投票率は無論高く、シンガポール・オーストラリア・ベルギーでは9割前後の投票率となっています。


さて、最近の総務省のHPに投票率を改善する方法として、「投票を義務化したらどうか」というものがありました。
民主主義の精神から言っても、このような発想は健全とは思えません。
なぜならば、以前にも書きましたように、投票は国民の「権利」であり、「義務」ではないからです。


問題が起こるとその原因を解明しないで対策に短絡する傾向が誰にでもあるでしょう。
これには非常に危険な場合があります。


例えば、ビジネスで言えば、売り上げ目標が未達成である。
その真の諸原因を究明することなく、営業員のノルマを上げたりすることでは問題は解決しません。


これと同じように、なぜ我が国の国政選挙の投票率が下降してきているのでしょう(昨年は59%)。
今回、よく言われているように「なぜ選挙をするのか」がよく国民に理解されないまま選挙が実施されたために投票率が低くなった、という指摘もあります。
無論これも正しいのでしょう。しかし、原因はそれだけではないと思うのです。
この原因を明確にし、その原因に対しての対応を試みることが賢明な・理性的なアプローチであると思うのです。


この低投票率の現象は、議会制民主主義の機能を揺るがしかねない危機であると言っても過言ではないでしょう。


各紙の解説を読んでも、この状況の本質に迫る論議は深くなされていないように思います。
投票年齢を18歳に引き下げたり、将来の投票者である子どもたちへのキャンペーンを増やしたり……といったその場しのぎのような提案もあるようです。


政党側の魅力(今回の場合は野党)が乏しいために有権者が投票に行かなくなっている……という指摘もあります。
この「魅力が乏しい」ということについて腰を据えて議論をする必要があると思うのです。


続きはその2にしたいと思います。

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