2015年4月18日土曜日

99:人間の人生は問題解決の連続である その3

91・92号の続きです。


④リスクにどのように対処するか
リスクという表現はよく使われていますが、少し立ち止まってリスクの定義をしてみることにも大きな意味があるでしょう。


一般的にはリスクは単に「できれば避けたいもの」くらいに考えられ、災害や危機として考えられることもあるでしょう。
俗に、「リスクととらなければブレイクスルーや発展は達成できないので、リスクを取って前進しなさい」と言われます。
これは姿勢としては理解できますが、どのような思考法でリスクを考えたら良いかについてはあまり教えてくれません。


そこで、リスクという言葉を次のような文脈で定義すると、国際社会におけるリスク Riskの考えに近いのではと思うのです。
リスクとは、起こりうる「まずいこと」とひとことで言えるでしょう。
このように考えれば、リスクをひとつの現象として捉えることができますし、下記に説明する思考プロセスに上手く沿うことになります。


今回はこのリスク対応への思考プロセスを質問系で、箇条書きで解説したいと思います。


新しい法律を施行するという例を取ってみましょう。


「○○法案の施行に関する諸問題と諸対策」がリスク分析のテーマとすると、次のようなシステマティックな質問形で分析を進めると、合理的に、重点的に有効な対策が見えてきます。
  • 「○○法案施行に対する行動計画はどうなっているのか」
  • 「この計画のどこが重大領域 Critical Areaとなるか」
  • 「それら個々の領域に想定される具体的な将来問題は何か」
  • 「それらの問題を起こりうる発生確率 Probabilityと重大度 Siriousnessによって絞り込むとどうなるか」
  • 「絞り込まれた諸現象を起こすかもしれない諸原因を想定するとどうなるか」
  • 「さらにその中でProbabilityの高い原因を特定するとどうなるか」
  • 「それらの原因を除去する予防対策Preventive Actionは何か」
  • 「予防対策を行ったにも関わらず問題が発生した場合の影響を最小限にする方策は何か」
  • 「この計画の進捗状況を、どの時点で確認し、諸対策の再設定をするか」
上司が、部下から上がってくる決済事項に対し、「問題ないね?」「この計画に自信があるだろうね?」といった質問こそリスク分析を甘くする元凶なのです。
懸案事項があっても、「大丈夫だね?」「自信あるね?」と言われた部下な大きな心配事があってもそれを開示しないでしょう。
なぜなら、「そんな自信のない計画を持ってくるな」と言われるのが関の山だからです。


リスクにチャレンジするためには、上に挙げたような詳細な分析がされ、具体的な諸対策があらかじめ講じられて初めて成功に近づくのです。

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