2016年10月8日土曜日

217:お気の毒な日本の防衛大臣

先日調べものをしていて、いくつか興味深い事実を発見したので、そのことについて書きたい。

2007年に「防衛庁」が「防衛省」に昇格してから15人目の防衛大臣が、現・稲田朋美防衛大臣である。
彼女のように、防衛大臣に文官を置くことが、各国の常識になっており、そのことに一切問題はない。


しかし、例えば米国と比較してみたとき、日本の防衛大臣の人数の多さ、そして米国の防衛大臣の経歴の確かさといったことに、あらためて驚かされた。

日本では、1954年から2007年の防衛庁時代に73人、上のように2007年から現在までの防衛省期に15人が大臣を務めている。
対してアメリカの国防庁では、1947年以来、国防長官は現在までわずかに25人なのである。

また米国国防長官のキャリアも注目に値する。
ケネディ時代の国防長官はロバート・マクナマラ(フォード元社長)。
ニクソン時代はエリオット・リチャードソン(保険教育福士長官、司法長官、商務長官を歴任)。
カーター時代はハロルド・ブラウン(元カリフォルニア工科大学学長)。
クリントン時代はウィリアム・ペリー(元国防次官、元スタンフォード大学教授)。
現役オバマ時代はアシュトン・カーター(元ハーバード・ケネディ行政大学院、科学国際関係センター長)。
といった大きな組織をきちんとマネージした経験のある人物が選任されている。



防衛大臣をどのような基準で選ぶのか、国民的関心がここに表れているといってもよい。

就任期間の長さにしても、就任以前のキャリアにしても、まことに残念ながら日本の防衛大臣は米国の国防長官に遠く及ばないように、個人的には思う。


これでは素人が横綱と相撲をしているほどのハンディがあるのではないだろうか。
日本が米国に追従している、と言われる背景の要因のひとつがここにあるのかもしれない。
稲田防衛大臣には、まことにお気の毒な話であるとも思う。

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